有給休暇を取れないのって看護師のあるあるのひとつですよね。
世間は有給休暇を取る流れになっているのに、 未だに大勢の看護師が諦めています。
もし有給を使いたくても同僚にそのしわ寄せが行くので使いづらいですよね。特に経験の短い若手は怖くて言い出せません。
しかし、そのままでは有給は時効を迎えて消えていってしまいます。1日分の給料と同じ価値があるので、1ヶ月分も溜まっているとかなりの金額を失うことに。
ボクは退職する時に有給を希望して、14日分は勝ち取りましたが半分以上は失いました。
この記事ではボクの失敗談をもとに看護師が有給休暇を取るための解決策を解説します。
勝ち取った有給休暇を使って旅行に行くもよし、次の仕事への準備など自由な時間を勝ち取ってください。
目次
ある看護師が有給休暇を残して退職した話
ボクの失敗談は、師長とあるベテランスタッフの会話を偶然耳にしたことから始まりました。
残ったままの有給は退職時に消化する
師長「あなたまだ今年の有給3日残ってるわよ。次のシフトで入れてあげるから使っちゃいなさい。」
ベテラン「いいんですかぁ?いつもありがとうございます。」
こんな会話からボクは勘違いしてしまいました。
「なるほど、有給が残っていれば向こうから取るように言ってくれるんだ。」
「自分から言い出せないのでラッキー」と思っていました。
退職願いを出しても有給消化されず
待てど暮らせど師長からそんな話はありません。
「あの人には有休あげてたのに何故ボクに貰えないんだろう?、、、!」
「あのスタッフは師長のお気に入りだからか。クソォォ、不公平な!」
だいたい想像はしていましたが、そのスタッフは師長派の1番手です。
まあ無理もありません、ボクはミスをしたり空気読めないと言われ師長のお気に入りではないことは明らかだったので、有給の話が来ないことはすぐにピンときました。
結果として、約5年間勤めて取得できた有給は勝手につけられた数日分。数えるほどしかとっていないので、ざっと計算して50日ほど残っていたんです。(大まかな計算方法は後述します)
それでも何とか師長に話して退職前に2週間分取れましたが、1ヶ月分の有給休暇が消えたことになります。
以前は退職届を出せば自動的に有給休暇を使って休みに入り、その後で退職になるとイメージしていたので膝から崩れ落ちました。
ここだけの話、同僚の中には仮病を使ってまで有給休暇を消費すど賢いスタッフもいたので、じっと待っていた自分がバカバカしく思えました。
有給の未消化はもったいない

なんとか有給を消化させてもらいたいと思った理由は
- 普段から頑張ってから捨てるのがもったいない
- 辞める時ぐらいしっかりと有給を取りたい
これってワガママなのでしょうか?周りの人の事が気にならないわけでもない。
しかし「あいつ退職する上に有給までしっかり取って辞めるんだって。」
こんなことをコソコソ話されると思うと少し気が引ける部分もありました。今後どこで関わるかもわからないので。あまり変なウワサは立てられたくない。
ちょっと厳しめの先輩たちと上手くやっていく方法についてはこちらの記事を参考にして下さい。
>>目の前にあるのに!看護師は仕事中にトイレに行きたいけど行けない。原因と対策を解説
その反面、ボクはオーストラリアに留学することが決まっていたので
「この人たちともう顔合わせないからもういいか」という開き直りもありました。
相当面倒くさい奴だと思われたでしょうが、諦め切れずに行動したからこそ2週間分の有給を取得できたと考えています。
退職する看護師が有給を消化できない理由
看護師が有給休暇を消化できずに退職してしまう理由は5つあると考えています。
知らなかった…有給休暇は労働基準法で決められてる
有給休暇については労働基準法で定められています。
勤続年数と使えるようにな有給休暇の関係はこのようになってます。
勤務年数(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 |
付与日数(日) | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
有給にも使用期限があります。
有給休暇は発生の日から2年間で時効により消滅します。
厚生労働省
退職時に取れないから「買い取って貰えばいいや」というのこともできないようです。
有給休暇の買い取りは原則違法となります。
アディーレ法律相談事務所
こういう基礎知識は知りませんでした。周りの看護師に聞いてみてもウワサ程度の話しかでてこない。
自分自身がしっかり確認しておくことが大事ですね。
とても低い看護師の有給休暇の取得率
残念ながら看護師の有給取得率は非常に低い現状です。
看護協会の調査によると有給取得率は50~60%の割合が最も多く、残りの半分の有給は未消化のままという結果でした。
離職率が低い看護業界では1人でも抜けると大変。だれかが有給を取るとシフトが回らなくなるのは想像できます。
このような事実を知ってか、知らずか同僚は有給を取らない。そんな職場環境では誰も有給を取りません。

取らないじゃなくて、取りたくても取れないんです。
有給の残りの日数を誰も知らない
有給未消化に終わる理由はシステムの不備にもあります。
自分の有給休暇がどれだけ残っているか把握している看護師はどれほどいるでしょう?
勤怠管理システムがしっかりしてる病院ではわかるかもしれませんが、多くの場合、残っている有給の日数は師長しか知りません。
また有給休暇を取るには師長にお願いしなければいけないので、言い出しにくいのが現状です。
こんな環境では有給休暇を取ることはできません。
看護師は責任感が強い
看護師の人柄も有給休暇を取れない理由の一つでしょう。
看護師には意識が高くて責任感が強い人が多いので「自分が有給を取ったら…」という気持ちから諦めてしまうのです。
ボクはそこまで意識高い系ナースではなかったので、周囲に迷惑がかかるという思いよりも有給を使えなくて残念でした。
好き嫌いで有給を取らせる上司
有給を取れない理由は上司にもあります。
個人的な関係性で有給を与える・与えないと決めてしまうのは、管理者として大きな問題。
まるで独裁者のような振る舞い。
スタッフ間の不平等は一瞬で病棟内に広まり、自らの首を絞めることも知らないのでしょうか。
病院の有給拒否に対抗するには
病院側が有給取得を拒否するのであれば、行動を起こすしかありません。
どのような方法があるか三つ紹介します。
円満退職の本当の意味と理解する
よく退職時に円満退職した方が良いということを聞きます。
一般的には「辞める人が波風を立てずに退職する」というイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、送り出す方も辞める人をスムーズに送り出して円満になるのではないでしょうか?
辞めていく人だけが気を使うのは間違っています。お互いの協力があってこその円満退職です。
意識と行動を変える
多くの看護師が「有給をもらえない」と悩んでいますが、労働基準法では労働者の権利です。
スタッフの意識から変えていかなければいけないのかもしれません。
ただ、急に意識を変えろと言われても現実的ではないでしょう。
そんな時は誰かの助けを借りるのが1番です。
労働基準監督署に行く
どれだけ話し合っても有給休暇を取れないようであれば労働基準監督署に行く。これが必要になってきます。
労働基準監督署とは雇用者と被雇用者の間に入ってくれる公的な機関で、労働環境の問題解決のセオリーです。
未払いの残業代にかんしても相談できます。詳しくはこちらの記事をご覧ください
>>3万円のはどこへ?看護師で残業代がでないなら働く意味なし
ボクも相談してみましたが、証拠が必要だったり、どちらの味方だかわからないような態度を取られて、最終的には泣き寝入り。
調査に乗り出すまでには周到な準備と時間が必要になります。
トラブルを防ぐために記録に残す
労働基準監督署に動いてもらうためには必ず証拠を求められます。
日時や会話内容
書類で提出したのか
こんなことを完全に覚えている人は少ないのではないでしょうか。
その場合、根拠がないと言われ門前払いを受けるのは経験済み。
話し合いの内容や日時を日記などに残しておくことはとても重要です。
ボイスレコーダーを使用するのも必要になるかもしれませんが、そんな事態にならないことを願うのみです。
有給の取得方法を工夫する
師長も人間なので、すさすがに有給を拒否することが違法なのは理解しているでしょう。
しかし「強気な態度を取っておけば言ってこないだろう」という構えをとっています。
それでは、こちらが少し賢くなって上手く交渉してみましょう。
うまく折り合いつける上手な交渉術はとても重要なスキルのひとつです。
なぜなら看護師の仕事は交渉の連続だからです。
- 忙しい時にガーゼ交換をしたいと言い出す医者
- 自分の仕事ばかり押し付けてくる先輩
- 全く薬を飲んでくれない患者
こんな人たちの要求を100%受け入れていたら仕事が終わりません。上手に交渉していい着地点を探すことが重要です。
切り口はこんな感じ
来月のこの日に有給を取らせてらもらえればあとのシフトは自由に作ってもらって結構です。
12月は忙しくて大変だろうから、少し余裕のある9月や10月ぐらいに少しずつ有給を取らせてください。
ボクはこの本の第5章「相手も自分もトクする交渉の極意」に載っている、相手が「これならできるかもしれない。」と思える条件を出して交渉を上手く進める技術を学びました。
まとまった有給休暇を取るのは難しくても、コツコツ消えてしまわない程度にうまく分散して使えば全てを失う最悪の状態は避けられます。
是非試してみてください。
それでもダメなら有給取得して退職からの転職
上で紹介した方法でも有給を使えない場合、弁護士のいる退職110番にお願いするのが確実に解決できる方法です。有給を全て取得してから退職できます。
ボクたちが気を使って「有給を使おうか、諦めるか」悩んでいるのに、全く取り合ってくれないような上司とこれ以上話し合いをするのは時間の無駄です。
退職110番を使えば弁護士が交渉してくれるので、しっかりと有給を取れます。
そして空白期間はあなたのキャリアにとってプラスのイメージを持たれないので、退職の前には必ず次の働き先を見つけておいてください。
有給休暇を満喫できるといいですね。