「リファレンスチェック」という言葉をご存じですか?
日本で働いてる人にとっては馴染のない言葉かもしれませんが、オーストラリアでは就職前にごく一般的に行われるもので、簡単に言えば「身元調査」のようなものです。
これからオーストラリアで働く人の前に立ちはだかる大きな壁になる可能性があるので、情報を共有しておきたいと思いました。
この記事では下の3つについて解説していきます。
- リファレンスチェックの基本的な知識
- ボクがオーストラリアで困った体験
- 自己流の困った状況の克服方法
もし同僚に「英語であなたの仕事ぶりを説明できる人」がいない人はこの記事が少し役に立つと思います。
この記事の発端になったのはオーストラリア留学センターの坂本さんとのツイートのやり取りです。
リファレンスチェックは就職前の身元調査
まずはリファレンスチェックの基本から説明していきます。
Reference check(リファレンスチェック)とは、日本語では身元調査という意味です。面接のプロセスの1つで応募者の能力や勤務状況を前の会社に直接確認します。
身元調査というと大げさですが要は「この人ちゃんと働いてた?信用できる人?」と確認するというイメージです。
採用する側としては、これから一緒に働く人がどんな人か?はとても気になるもの。
何か問題がある人を雇ってしまわないための安全策だと言えます。
リファレンスチェックでよくある質問
ボクは実際に何人ものレフリーをしているのでたまに連絡があります。
レフリーとは企業からリファレンスチェックの連絡を受けて、応募した人について質問に回答する人のことです。
その中でよく聞かれる質問は下の5つです。
- 応募者がどのような仕事をしていたか
- 応募者の職場での働きぶり
- 応募者のパーソナリティ
- 応募者が職場でどんなプラスの効果を与えたか
- 応募者を一緒に働くことを好意的にとらえているか?
やはりこれから一緒に働く人としては応募者がどんな人で、一緒に働いても大丈夫かを見極めたいのでしょう。
どんなエピソードがあったか?ということも聞かれるので答える方にとってもなかなか気を使う工程だったりします。
リファレンスチェックの方法は2種類
よく行われるリファレンスチェックは2通り。
- 電話
- メール
少し前まではほとんどのリファレンスチェックが電話で行われていました。
会社の人事担当者が直接レフリーに電話で質問し、採用するかどうかを判断します。
最近ではメールアドレス宛にフォーマットを送信して、記入、返信することも多くなってきています。
レフリーの電話番号だけでなくメールアドレスも一緒に聞いておくのをお忘れなく。
リファレンスチェックのタイミングは採用の直前
会社によって誤差はあるでしょうが、一般的にリファレンスチェックのタイミングは書類審査と面接をクリアした後です。
つまり採用の一歩手前でリファレンスチェックが行われるということ。
これをクリアすれば晴れて採用になる大切なポイントですね。
ここまではリファレンスチェックの基本的なお話をしてきました。
ボクが特に読んでほしいのはここから。理由としてオーストラリアで働きたい日本人はリファレンスチェックが原因で採用されないことがあるからです。
リファレンスチェックを英語でできなくて詰んだ体験談
ボクはオーストラリアに看護師になるために留学しました。
その前は日本で看護師として5年間働いていたので、転職には問題がないはずです。能力や性格などは別として。
しかし障害になったのがリファレンスチェックを「英語で」お願いできる人がいなかったこと。
前の職場には英語を話せる人がいなかったんです。
このため書類選考や面接の前の段階の「応募」すら不可能でした。
これには本当に困りました。何しろスタートラインにすら立てていないんですから。
というより絶望していました。当時はオーストラリアに相談できる人もいなかったので完全に詰んでいました。
- 働きたいのに働けない負のループ
- 働きたい→リファレンスをお願いできない→応募できない→仕事がない→働けない…
「働きたいのに働けない負のループ」に陥っていました。
次にとった行動は大学の教授に頼んでみること。しかし「大学の外のことは引き受けられない」と拒否され、また振り出しに。
よく考えたら教授―生徒の関係でボクの働きがわかるわけがないなと納得もしていましたが、当時は必死だったのです。
しかし実習先の病院で見つければいいとアドバイスをくれたのが大きな収穫。
その後の実習の病院で担当してくれた人にお願いして、やっとの思いでレフリーを見つけることができました。
しかし誰にでもお願いしていいわけではありません。企業に採用されるためにはレフリーの人選もかなり大切です。
リファレンスチェックは良い口コミをくれる人に頼む
リファレンスチェックをお願いすることで大切なのは「誰に頼むのか」ということ。
誰かれ構わずお願いしても望むような評価をくれなければ無意味だからです。
- 実習の引率者や病院の担当ナース
- あなたにいい評価を持っている人
実習の引率者や病院の担当ナースはあなたの近くで働きブリを見ているのでこれ以上に最適な人はいないでしょう。
次に大切なのはあなたのことを良く評価してくれそうな人を見つけること。
リファレンスチェックのために頑張れとは言いませんが、いい評価を伝えてほしければレフリーにはしっかりとアピールしておくのを忘れてはいけません。
なんなら「レフリーになってほしいから、ちゃんと働けるか見てほしい、アドバイスが欲しい」と話してOKをもらえればスムーズに進むはずです。
リファレンスチェックは頼んで終わりじゃない
1番よくあるのが取りあえず履歴書にレフリーの名前と連絡先だけ書いて終わりというもの。
これでは不十分です。
あなたは知らない電話番号からかかってきた電話を受けますか?
ボクは全く受けません。正直言ってセールスだったら面倒なので。
今はこういう人がたくさんいますよね。
つまり、せっかく企業の採用担当者が連絡をしてもレフリーがそれを無視していたら台無しなんです。
これを防ぐためレフリーには「面接を受けたから電話がかかってくるかもしれない」ことを伝えておきましょう。
レフリーが日本にしかいない人がとれる3つの策
最初に紹介した坂本さんとのツイートのやり取りで出た問題「レフリーをお願いできる人が日本にしかいない場合はどうするか?」について考えていきます。
方法としては3つあります。
- リファレンスチェックのメールを翻訳する
- 通訳についてもらって電話を受ける
- リファレンスチェックなしで雇われる
これらの方法はボクが働いている施設の人事採用担当者にも相談してみて
「レフリーが英語を話せないケースだとこれしかないよね」と話していました。
リファレンスチェックのメールを翻訳する
レフリーに送られたメールを翻訳するというのが1番現実的な方法だと思います。
面接のときに「レフリーは日本人で英語が話せない」ことをしっかり説明してメールでリファレンスチェックをするようにお願いしましょう。
最近はGoogle翻訳やDeePLも使えるので翻訳自体の手間はそれほどでもありません。入試の作文ではないので、少し間違いがあっても仕方ないでしょう。
翻訳者についてもらって電話を受ける
リファレンスチェックの際にレフリーの側に通訳についてもらうのも1つの方法です。
しかし、費用がかかったり予定の調節など現実的ではないかもしれません。
もし周囲にお願いできる人がいれば助かるんですが。
リファレンスチェックなしで雇われる
リファレンスチェックなしでも採用されるの?と問題の根底からひっくり返すようですが、1つ方法があります。
それはボランティアとして企業で働くというもの。特に病院や介護施設ではボランティアを募集していることがあります。
「レフリーがいないので働きブリを見て雇ってほしい」と相談してみてください。熱心に働いている姿を見れば一緒に働きたいと思うのが人というものです。
ウチの施設でもボランティアから雇用された同僚がいるので不可能ではありません。
でも上の3つの方法を見ていてこう思いませんでしたか?「面倒くさ」
コネがない日本人がオーストラリアで仕事をゲットするのは本当に大変。だからこそできる限りのことをするしかないんですよね。
むしろ問題解決のためにどれだけ貪欲で柔軟に作戦を立てられるか?が成功のカギになることは間違いありません。
この辺のアプローチの自由さはオーストラリアが日本に勝っている点だと感じています。
リファレンスチェックを英語でお願いできないとツライ
この記事ではリファレンスチェックについてまとめてきました。
- リファレンスチェックがどういうものか。
- レフリーがいないときはどうするのか?
- レフリーが日本語しか話せないときは?
そんな時にはボクのように学校や実習先で探す、もしくは
- リファレンスチェックのメールを翻訳する
- 翻訳者についてもらって電話を受ける
- リファレンスチェックなしで雇われる
このような工夫をしてみてはいかがでしょう?
オーストラリアで仕事をしたいのにレフリーがいないせいで仕事ができないのはつらい状況です。
特に日本での経験が認められないストレスはボクもずっと感じていました。そんなあなたにこの記事が少しでも役に立ってあなたの仕事が見つかれば嬉しいです。