- オーストラリアで看護師になるにはどうしたらいいの?
- 何から始めたらいいのかわからない。
- オーストラリアの看護師ってどんな感じ?
オーストラリアで看護師になりたいけど日本とは異なる言語や文化、医療制度のため色んな不安や疑問がありますよね。
ボクも留学前には情報収集をしていましたが、何が正解かよくわからず悩んでいました。
それでもなんとかオーストラリアで看護師になり、今年で看護師として働き出して5年目です。
この記事ではボクが留学前に欲しかったオーストラリアで看護師になるために必要な情報をすべてまとめました。
このロードマップを参考にしてオーストラリアで看護師になる1歩目を踏み出して下さい。
看護留学を決意する
あなたの人生を大きく変えるという意味でオーストラリアで看護師になると決意することは1番始めにしなければいけないことです。
なんとなく「海外に行ってみたいな」と思っていても、思い切って大きな決断するのはとても勇気がいるもの。
もし1歩目を踏み出せないなら「なぜ自分が留学に興味を持ったか」考えてみて下さい。
ボクが留学をして本当に良かったと感じているから「イマイチ決められない、なかなか決断できない」というあなたに向けて最後に背中を一押しするつもりで書いていきます。
オーストラリア看護師の仕事内容
オーストラリア、日本でも働く国に限らず看護師の仕事はそれほど変わりませんが、いくつか違いを見つけたので解説していきます。
オーストラリアと日本の看護の違い
オーストラリアと日本の看護の業務的な違いの例を挙げると、
- 簡単な創傷処置は看護師が行う(清潔台も自分で作る)
- 移乗介助は機械を使うので身体への負担はかなり小さい
- 患者さんは会話を通して積極的に治療に関わる
「こんなこともできるの!?」と最初は日本とオーストラリアの違いに毎日戸惑っていました。
この他にもまだまだたくさんの違いがあります。もちろん働きやすく感じることも、その逆も。
オーストラリアで看護師の就職・求人はある?
オーストラリアでは看護師の需要はとても高いと言えます。
特にオーストラリアでは高齢化が進んでいて、労働力を移民に頼っているので看護師はいまだに人手不足です。
これは日本と似ているかもしれませんが、仕事を選ばなければ求人は常にあると考えていいでしょう。
地域や専門分野によって求人数は違うので、現地の求人情報サイトやエージェントを通して情報収集するのがおすすめです。
オーストラリア看護師がキャリアアップしてできること
オーストラリアの看護師は経験を積むことで様々な分野に進むことができます。例えば、
- 看護教育
- 管理職
- 研究者
ウチの施設では創傷管理の専門看護師に相談することがあるんですが、その専門看護師が独立起業して経営していました。
訪問看護以外に看護師が開業できるというのは日本では聞いたことがなくて驚きました。
分野ごとに専門看護師資格もあり、キャリアアップによって知識や経験、そして収入増加につなげられます。
オーストラリア看護師の年収はどれくらい?
オーストラリアで看護師をしたいけど、「留学するほど年収があるの…?」ということが気になりますよね。
日本とオーストラリアでどの様な違いがあるか比較します。
日本とオーストラリアの看護師の年収比較
日本とオーストラリアの新人看護師の給料を見てみましょう。
オーストラリアの新人看護師の年収は約617万円(2021-2022年度)
日本の新卒看護師の年収は約427万円(2か月分のボーナスを2回込みで算出。2021年発表)
もちろん為替などの条件次第ですが約200万円の差があります。
これから留学する看護師さんは留学費用を支払うので大きなマイナスですが、生涯賃金と言う意味ではオーストラリアで働いた方が稼げますね。
しかし、なぜ200万円も年収に差が出るのでしょうか?
オーストラリア看護師の年収に影響する要因
オーストラリアの看護師年収が高い理由は2つあります。
1つ目は、オーストラリアの最低賃金が日本の約2倍であること。
厚生労働省によると、令和4年で日本の平均最低賃金は961円です。一方、オーストラリアの2023年の最低賃金は$21.38、約1,800円($1=90円換算)
オーストラリアでは看護師だけでなく、全職業の給料が日本より高い傾向にあります。
もう1つの理由は各種手当が厚いからです。ボクの働いている施設では次のように給料がアップします。
- 夜勤手当:$50
- 土曜日:基本給の1.25倍
- 日曜日:1.5倍
- 祝日:2.0倍
- 残業:1.25倍
これはウチの施設だけが特別なのではなく、ほとんどの企業が同じように国のルールで定められています。
このように最低賃金、手当の違いからオーストラリアの看護師の年収は日本よりも高くなります。
オーストラリアの看護師の年収についてはこちらの記事にまとめてあります。
>>【思ったより高い?】オーストラリア看護師の年収は?給料アップの秘訣も解説
オーストラリアで看護師になるメリット・デメリット
ワークライフバランスを取れる
オーストラリアで看護師になるメリットの1つは「ワークライフバランスをとれる」ことです。
日本では正社員として働くことが良しとされていますよね。それもいいんですが、ボクは仕事以外の時間も大切です。
だからプライベートの時間を大切にできるオーストラリアの働き方に満足しています。
- 食事は絶対に家族と食べる
- 自分の時間も大切にする
- 友達と趣味に打ち込む
社会全体でもこの考え方が受け入れられているので、居心地がとてもいいです。
仕事が終われば誰にも気を使わず帰る。休みは仕事を忘れて家族と過ごす。当たり前の様ですが日本では難しいですよね。
働く人の権利が守られている
オーストラリアには日本には見られない、労働者に優しい制度がいくつもあります。
給料が支払われる休暇の例として、
- sick leave:病欠
- annual leave:有給休暇
- study leave:勉強休暇
この他にも色々な種類の休暇があります。
もちろん病欠や有給は日本にもあります。
しかしオーストラリアでは「上司の顔色を伺って、スタッフの力量を考えながら、恐る恐る休む」なんてことはありません。
自分が必要だと判断したら休む。社会全体の「人の権利を守る意識」が強いので成り立っています。
この様な環境で働けるのはありがたいです。
一見素晴らしい環境ですが、もちろんオーストラリアで働くデメリットもあります。
「もう日本で働けないかも…」という不安
オーストラリアで看護師をするデメリットは「もう日本に馴染めないんじゃないかなぁ」という不安です。
- 有給は好きな時に使える
- 定時ピッタリに帰宅できる
- 同調圧力が強くない
こういう働きやすさを感じてはもう日本で働こうと思えません。
老後はどこで過ごすのか?日本人としてのアイデンティティは?など日本から心が離れていることは少し寂しくもあります。
他にもボクが感じたオーストラリアで看護師になるメリット・デメリットをまとめました。
>>迷ってるあなたへ!オーストラリアで看護師になったメリット7選
日本人がオーストラリアで看護師になるには
大前提として大学入学の時点で、最初に紹介したIELTS、OETまたはPTEという語学テストのスコアをクリアする必要があります。これがホントに大変です。
テスト | 必要スコア | 特徴 |
IELTS academic | 全ての技能で7.0 | 問題集が1番多い 大学の課題対策にもなる |
OET | 全ての技能でB | 1番費用が高い 医療者用のテスト テスト対策が臨床でも役立つ |
PTE | 全ての技能で65点 | AI採点で基準が客観的 テスト回数が多い 採点が早い |
語学テストをクリアした上で、日本人がオーストラリアで看護師になるにはいくつかの条件と経路があるのでそれぞれを紹介します。
情報は2023年2月時点のものです。ボクが大学生の時もビザや看護師登録のルールはコロコロ変わっていました。
看護師登録のルールはコロコロ変わるので、AHPRA(日本の看護協会)や留学エージェントの担当の方に確認してください。
- 日本の大卒
- 日本の専門卒
- 日本で看護師未経験
大卒の場合
最終学歴が大卒の場合は進路が2つあります。
1つ目は日本の看護大学卒業で看護師になった人。この場合、OBA(Outcomes-Based Assessment)という試験を通過すると看護師登録ができます。
OBAとは筆記試験・実技試験からなる、海外の看護師がオーストラリアの看護師資格を取得するための認定プログラムです。
2020年に始まったばかりで「制度が整っていない」という声をよく聞きます。これから受験する人は情報収集が欠かせませんね。
2つ目は日本で看護学以外の学士卒の場合はGraduate Entryというシステムで2年の学士もしくは修士の看護コースに通い、看護師を目指すことができます。
しかし解剖生理学や基礎看護学などの知識がない状態で入学するので、授業内容の理解などハードルは上がります。
専門卒の場合
日本の看護専門学校を卒業して看護師になった人は、オーストラリアの大学に編入・卒業して看護師に登録できます。
ボクはこのパターンで大学の2年目に編入、2年間勉強してから看護師になりました。
大学には講義はもちろん病院実習もあるので看護学生に戻ったようでした。
日本との違いはズバリ入学してからの大変さ。日々課題に追われていたので、大学生時代はほとんど図書館にいました。
日本で看護師未経験
日本で看護師として働いていない場合は、オーストラリアの看護大学に3年間通って卒業後、看護師として登録できます。
この場合、新卒採用となりGraduate yearという新人研修期間を経てから一般の病棟で働くことになります。
ワーホリでもオーストラリアの看護師になれる?
大学に通えないのでワーホリビザではオーストラリアの看護師にはなれません。
その代わりに、1年間の滞在期間を利用してアシスタントナース(介護士)になる看護師さんはたくさんいます。
その他にもカフェで働いたり、英語を勉強するなど自分で時間の使い方を決められるのが魅力ですね。
こちらの記事でオーストラリアでアシスタントナースになるロードマップをまとめているので参考にして下さい。
>>オーストラリアでアシスタントナース(介護士)になるためのロードマップ!給料や費用など必要な情報をすべて紹介
オーストラリアの看護師に年齢制限はないけど…
オーストラリアの看護師に年齢制限はありません。
日本のように年齢で判断されないので、就職の過程で年齢を聞かれることもありません。
「看護師になる」ことに年齢制限はありません。
しかしちょっとややこしいのが、看護師になってオーストラリアに住み続けるためには「永住権」が必要です。
永住権の申請はポイント制であなたの条件によってポイントと加算し審査されます。
そして「年齢」は10個ある審査ポイントのうちの1つ。年齢が上がるにつれてオーストラリアの永住権を取るのが難しくなります。
ボクがオーストラリアで看護師になったのは33歳の時で、永住権が取りやすい年齢でした。
オーストラリアで看護師になること自体に年齢制限はありませんが、実際に「看護師として働き続けるため」には若い方が有利になります。
しかし年齢による加算が低くても他の項目でカバーすることができるので諦めるのは早いですよ。まずは移民局のサイトで自分が何点ぐらいとれるか確認しましょう。
オーストラリアで看護師になるのが難しい3つの理由
オーストラリアで看護師になる難易度は高いです。
しかし安心してほしいのは「難しいけど不可能ではない」ということ。ここではボクが体感した「難しさ」を3つ紹介します。
留学にかかる費用が高い
留学にはやはりたくさんのお金がかかります。ボクは妻と2人で移住しましたがかかった費用はこれだけかかりました。
- 留学前の準備費用:682,600円
- 留学にかかる学費:5,398,400円
- 夫婦2人の生活費:7,924,000円
- 看護師登録と永住権:991,200円
10年ほど前の情報なので物価は上がっていて、為替の変動もありますので、あくまで参考として考えてください。
オーストラリア留学にかかった費用と節約方法はこちらの記事でまとめています。
看護師になるまでに時間がかかる
上で紹介したように、あなたの学歴によってオーストラリアで必要な勉強の時間は変わってきます。
ボクは決断したときから数えると看護師になるまで5年以上かかりました。
今あなたが社会人として働いているなら、また学生に戻って勉強をするのは気力と決断が必要になりますね。
海外にいても英語は思った以上に伸びない
1番の難関は英語の習得の難しさかもしれません。
高校や大学で英語を勉強していても実際に話せない人はボクだけではないはずです。さらに仕事に使えるレベルまで高めるとなると難しいことはイメージできますよね。
しかし安心してほしいのは、ボクがオーストラリアに来た当初は単語を少し話せるぐらいだったこと。
たぶん平均的な英語レベルぐらいか、それより低かったのではないでしょうか。
もちろんあなたも勉強すれば必ず話せるようになりますよ。時間はかかっても、ゆっくり勉強していきましょう。
オーストラリアに留学したい看護師さんを対象にオンラインで留学相談をやってます。ご興味のある方は詳細をご覧ください。
【体験談】オーストラリア看護師に必要なスキルとは?
オーストラリアで看護師として働いていて絶対に必要だと感じたスキルがたくさんありました。
その中でも特に優先度が高いと思ったものを紹介します。
語学テスト基準以上の英語力
オーストラリアで働き出すと痛感するのが「ネイティブが何言ってるかわからん」ということです。
語学テストをクリアしたぐらいの英語力ではけっこう苦戦します。少なくともボクは大変でした。
どんなことがツラかったかというと、
- 医療の専門用語や技術用語
- テストに出ないような砕けた日常会話
特に苦労したのはリスニングで、ネイティブと電話をするのは今でも緊張します。
テストをクリアしたからと言って勉強を辞めずに続けていくことが大切ですね。
1人で問題を解決する姿勢
オーストラリアでは医療システムや、患者さんの背景など多くの「違い」に直面します。
日本では何か起こっても上司に報告して指示を仰ぐのが普通ですが、オーストラリアでは「自分の意見を持ってやってみること」が求められます。
それを結果とともに報告して改善していくという感じ。
そのため他のスタッフとのコミュニケーションや、自分の意見を適切に表現できる能力も重要です。
働き方の違いに慣れる
オーストラリアの医療現場では同僚や患者さんとのコミュニケーションが欠かせません。
日本では黙って働くことが美徳ですが、オーストラリアでは働きながらよくしゃべる。
話しながら投薬をしている同僚を見て「よく間違えずにできるなぁ。お局に怒られそう」と思ってました。
日本とは違う文化や価値観があることを理解して適応するチカラも大切です。
オーストラリアで看護師になれば永住権を取りやすい
オーストラリアにずっと住みたい人に欠かせないのが永住権です。
オーストラリアで看護師になると永住権を取得しやすいというメリットがあります。
これは永住権の審査がポイント制になっているからで、看護師として働くことは多くのポイントがもらえるからです。
地域によって永住権獲得に有利に働く
医療のニーズが高い地域で働くと追加でポイントがもらえて、さらに永住権が取りやすくなります。
例えばタスマニアという地方には永住権を求めて、たくさんの移民看護師が移動しています。
永住権を獲得する条件は複雑なので免許を持つプロにアドバイスをもらうのがおすすめです。
オーストラリアで看護留学する人によくある疑問
「オーストラリアに看護留学をする」と決意すると、わからないことがどんどん湧いてきますよね。
ボクが留学前に疑問に思っていたことや、Twitterのフォロワーさんからよく質問されることをまとめました。
Q、日本の看護師免許はオーストラリアで使えないの?
A、残念ですが、オーストラリアでは日本の看護師免許は使えません。
オーストラリアは日本と違って看護師国家試験がなくて制度自体が違うものなんです。
オーストラリアで看護師登録をするにはAHPRA(オーストラリアの看護協会)に認定されている大学を卒業するか、OBAというテストを受けます。
あなたの学歴によって看護師になるまでの経路は少しずつ違うので注意が必要です。
Q、オーストラリアの看護師免許の種類はどうなってるの?
A、オーストラリアの看護師の免許の分類はほとんど日本と同じです。医療施設で働く場合には主に下の3つの看護系の職種がチームとして働いています。
- RN(Registered Nurse):正看護師
- EN(Enrolled Nurse):准看護師
- AIN(Assistant in Nursing) アシスタントナース:介護士
RNとENの業務的な違いはほとんどありませんが、RNは麻薬の管理や看護計画を作るなど、より責任範囲が広くなります。
ちなみにボクはアシスタントナースの資格を取って介護施設で働きながら、最終的にRNの資格を取りました。
Q、ビザって何?どんなビザが必要?
A、オーストラリアに留学するにはビザ(滞在するための権利)が必要です。
ビザを取るためには移民局に必要書類を提出して申請します。ボクが留学してから現在までに手に入れたビザは以下の通り。
- 学生ビザ
- テンポラリービザ
- ブリッジングビザ
- 永住権
よくある質問に「学生はバイトができるの?」があります。学生ビザでは大学の学期中は週20時間、休暇中は制限なしでアルバイトができます。
他にも看護留学できる国はありますが、仕事ができない国もあるので経済的な視点からオーストラリアに留学するメリットは大きいです。
ビザについて詳しいことは資格を持った留学エージェントや、移民書士さんに相談しましょう。
Q、オーストラリアで看護師に必要な英語力とは?
A、オーストラリアの看護大学に入学するには英語のテストをクリアしなければなりません。
そのテストがIELTS、PTE、OETという語学テストです。
どのテストにも特徴がそれぞれありますが、必要なレベルをクリアするにはしっかりした準備が大切です。
それぞれのテストを簡単にまとめると下の表のようになります。
テスト | 特徴 | 必要スコア |
IELTS | 問題集が1番多い 大学の課題対策にもなる | 7.0 |
OET | 1番費用が高い 医療者用のテスト テスト対策が臨床でも役立つ | B |
PTE | AI採点で基準が客観的 テスト回数が多い 採点が早い | 65点 |
IELTS7.0はTOEIC870~970点、英検では1級ぐらいと言われています。英語のレベルをできるだけ上げてから移住することがとても大切です。
これからオーストラリアで看護師になりたい人へ
オーストラリアで看護師になるために必要な情報をまとめてきました。海外のことなので情報が少なかったり、正確な情報を探しにくいですよね。
そんなあなたに向けてこの記事では下のことを解説してきました。
- オーストラリアの看護師に関する情報
- 経歴ごとにオーストラリアで看護師になるための進路
- 多くの人が難しく感じるポイント
- オーストラリアで働いた体験談
これからオーストラリアで看護師になりたい人にはたくさんのハードルが待ち構えています。
難関を目の前にしているときは「私にできるかな…」と不安になるかもしれませんが、1つずつクリアしていけば必ず達成できます。
そのために今後もブログで情報をまとめていくので、オーストラリアで働きたい看護師さんはぜひ参考にして下さい。